タイのショッピング事情が、2020年1月10日を境にドラスティックに変貌を遂げています。タイ小売業協会に加盟するスーパーやコンビニエンスストアなど、実に2万4500もの店舗が一斉にプラスチック製レジ袋の無償提供を取りやめました。東南アジアの他地域では、一部で有料化がスタートしているものの、これほど圧倒的なスケールで実施されるのは極めて異例の事態といえます。環境先進国への第一歩を踏み出した現地の様子が、世界中から大きな注目を集めているところです。
今回のエコな大号令には、タイ国内の超有名ブランドがこぞって名を連ねています。日本でもお馴染みの「セブン―イレブン」を運営するCPオールをはじめ、大型スーパーの「テスコ・ロータス」、さらには小売最大手セントラル・グループの百貨店や家電量販店まで、合計75業態がこのクリーンな試みに参加しました。これまでにも月に1回ほど、一部の売り場でテスト導入されていましたが、2020年からはついに年中無休の定例ルールへと格上げされ、対象の輪が大きく広がっています。
この急進的な改革の背景には、深刻化する環境問題への強い危機感があります。タイ公害防止局の調査によれば、首都バンコクの住民は1日平均で8枚もの使い捨てビニール袋を消費しており、国全体での年間使用量はなんと450億枚にものぼるそうです。これらが適切に処理されずに海へ流れ着く「海洋汚染(海に漂うゴミが生き物や生態系を脅かす問題)」が地球規模の課題となっており、タイ政府は2022年までに使い捨てのストローやカップを全面禁止する方針を掲げています。
政府の目標を見据え、先手を打った小売り各社のスピード感は見事というほかありません。地球を守るために利便性を手放すこの決断は、未来への投資として非常に意義深いものだと私は確信しています。一方で、SNS上をはじめとする消費者の間では、このドラスティックな変化に対して激しい議論が巻き起こりました。ネット上では「環境を守る素晴らしい一歩だ」「エコバッグを持ち歩こう」といった称賛の声が溢れる反面、「あまりにも急で不便すぎる」という戸惑いも目立ちます。
現地のスーパーでは、お買い物を楽しむ人々にエコバッグの持参を優しく呼びかけるポスターが掲示され、新しいライフスタイルへの移行を促している最中です。マイバッグの習慣が定着するまでには多少の混乱が予想されるでしょう。しかし、使い捨てカルチャーから脱却することは、美しい海を守るために避けては通れない道です。今回のタイの先進的なチャレンジが、アジア全体の環境意識をガラリと変える素晴らしい起爆剤になることを切に願ってやみません。
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