アジアのビジネス界を席巻していた「ユニコーン企業」の勢いに、急ブレーキがかかっています。企業価値が10億ドルを超える未上場の急成長スタートアップを指すこの言葉ですが、2019年はその誕生ペースや資金調達の面で明らかな減速が見られました。ネット上でも「ついにバブルが弾けたのか」「これからは実力が試される時代だ」といった、今後の動向を不安視する声が数多く上がっています。華やかな成長ストーリーの裏側で、今まさに大きな地殻変動が起きているのです。
この冷え込みの最大の引き金となったのが、シェアオフィス大手「ウィーワーク」を運営するウィーカンパニーの新規株式公開、いわゆるIPOの歴史的な大失敗です。米国のウーバーテクノロジーズなどの上場後の苦戦も重なり、投資家たちは一気に現実へと引き戻されました。これまでは赤字を掘ってでも急成長すれば評価されていましたが、今や市場は「本当に利益を出せる体制なのか」という事業の質を、厳しく見定める姿勢へとシフトしています。
数字が証明するベンチャー投資の「冬」の訪れ
市場調査会社であるピッチブックデータの統計を紐解くと、その厳しさは一目瞭然でしょう。2019年にアジアで新たにユニコーンの仲間入りを果たしたのは23社に留まり、2018年の42社から約半減という衝撃的な結果となりました。さらに資金調達の総額にいたっては、前年の3分の1となる約210億ドルへと激減しています。堅調な経済成長とデジタル化の波に乗って資金が膨張していたアジア市場にとって、この冷え込みはあまりにも大きな衝撃です。
こうした流行の波を表す言葉として、英語には「バンドワゴン」という表現が存在します。これは元々サーカスのパレードを先導する音楽隊の車を意味しており、そこから転じて「時流やトレンド」を指すようになりました。現代のビジネスにおいても、明確な利益の根拠がないまま人気の波に乗っかるだけの企業は、もはや淘汰される運命にあるのかもしれません。勝ち馬に乗りたいという投資家心理が、一気に冷めてしまった状況を象徴しています。
私は、この投資の「冬」の到来は決して悪いことばかりではないと考えております。なぜなら、中身のない過大評価バブルがリセットされ、真に社会を変革する実力を持った企業だけが生き残る健全な市場へ移行する絶好のチャンスだからです。これからの時代を生き抜くアジアのスタートアップには、単なる規模の拡大ではなく、持続可能なビジネスモデルを証明することが求められます。ピンチをチャンスに変える真のイノベーターの誕生に期待しましょう。
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