アイシンが挑むCASE戦略!CES2020で見えた自動運転とシェアリングの未来図

自動車業界に100年に1度と言われる大変革の波が押し寄せています。そんな中、主要部品メーカーのアイシン精機が、次世代の自動車トレンド「CASE」を見据えた大胆な全方位戦略に打って出ました。同社は2020年1月10日までアメリカのラスベガスで開催された世界最大級のデジタル技術見本市「CES2020」において、海外のスタートアップ企業4社との新たな提携を発表したのです。最先端の知見と圧倒的なスピード感を取り入れ、未来のモビリティ社会での覇権を狙う動きに、ネット上でも「老舗メーカーの本気度が凄い」「これからの車がどう変わるのか楽しみ」といった期待の声が多数寄せられています。

アイシン精機が今回特に強化を図るのが、これまで比較的手薄だったとされる「C(コネクテッド)」と「S(シェアリング)」の分野です。ちなみに「CASE」とは、接続性を意味するコネクテッド、自動運転、シェアリングなどの共有サービス、そして電動化の4つの頭文字を取った造語で、これからの車社会の核となる重要な専門用語です。今回新たに手を組んだのは、カメラの画像から人工知能(AI)を用いて高速で情報を処理する「LiDAR(ライダー)」と呼ばれる、自動運転に絶対欠かせない光センサー技術を持つアメリカのエーアイ社や、物流のマッチングビジネスを展開するカナダのフリートオプス社など、実に強力な顔ぶれとなっています。

今回の出資は、最先端技術の聖地であるアメリカ・シリコンバレーに拠点を置くベンチャーキャピタル、ペガサス・テック・ベンチャーズを介して実施されました。アイシン精機はこのペガサスを通じた投資をすでに10件以上も手掛けており、その本気度の高さが窺えます。近年、既存の自動車ビジネスだけでは生き残れないという危機感が業界全体に広がっていますが、伝統的な自前主義に固執せず、外部の革新的な力を柔軟に取り入れる姿勢は非常に賢明な判断と言えるでしょう。これまでの強みだったハードウェアの製造技術に、スタートアップのIT技術が融合することで、これまでにない画期的なシナジーが生まれるに違いありません。

さらに注目すべきは、外部との連携だけでなく、アイシン精機が社内にも変革のメスを入れた点にあります。同社はスタートアップ企業のように迅速かつ自由な開発を進めるための特設プロジェクトチーム「マースインキュベーション」を新たに立ち上げました。グループ各社から精鋭を集めた5人ほどの小規模なチームで、現在は車内向けに最適なタイミングで広告を配信する画期的なシステムを開発しています。意思決定のスピードを極限まで高めるこの試みは、大企業特有の縦割りの弊害を打破する素晴らしい一手です。現在は女性が中心のチームや異業種とコラボレーションした別チームの設立も進んでおり、組織の多様性と柔軟性がさらに加速していくでしょう。

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CES2020で火花を散らすトヨタグループ各社の独自技術

2020年のCESでは、アイシン精機と同じトヨタグループに属する部品メーカー各社も、それぞれの強みを活かした次世代技術を堂々と披露し、会場を沸かせました。アイシン精機は、自動運転車への搭載を見据えた近未来的なコンセプトカーをブースの中心に展示しています。歩行者を瞬時に検知する高性能センサーや、スマートに自動開閉するドア、そして電動式の薄型スロープなど、今すぐでも量産化ができるレベルに達している実用的な部品を数多くアピールしていました。この地に足のついた技術力こそが、同社の最大の武器であり、競合他社に対する大きなアドバンテージになっていると感じます。

一方で、同じグループのトヨタ紡織は、自動運転車を導入したい自動車メーカーなどの要望に合わせ、シートや内装を自由に入れ替えられるユニークな内装カスタマイズサービスを提案しました。同社はさらに、スポーツカーにも耐えうる高出力のリチウムイオン電池の開発も進めており、ハードとソフトの両面から攻勢をかけています。そして今回がCES初出展となった豊田合成は、従来の自動車部品の枠組みを大きく超えた驚きの技術で勝負に出ました。展示を電気で動く次世代のゴム素材「イーラバー」だけに特化させ、自動車の枠を超えた「ポストCASE」と呼ばれる未来の市場へ、早くも布石を打ってきたのです。

豊田合成の展示の目玉は、拡張現実(AR)とイーラバー、そして高感度センサーを組み合わせた世界初公開のデバイスでした。ARメガネをかけると目の前に現れる仮想のピアノを、まるで本物を弾いているかのような触感と共に演奏できたり、デジタルの青い鳥が自分の指に止まった感覚をリアルに肌で感じられたりします。指に装着したセンサーを介して、離れた場所にいる人が触った風船の微細な振動を共有するシステムもあり、SNSでは「SF映画の世界が現実になった」「5G時代に化ける技術だ」と大きな話題を呼んでいます。大容量のデータを一瞬で送れる5Gの普及を見据え、工場などの産業用だけでなく、エンタメ分野への応用にも期待が高まります。

今回のCES2020では、トヨタ自動車が静岡県裾野市に実験都市「コネクティッド・シティ」を作る計画を発表したほか、ソニーが独自の自動運転電気自動車(EV)をサプライズ発表するなど、業界の垣根が完全に消滅しつつあることを象徴するイベントとなりました。あらゆる業界が入り乱れる大競争時代において、部品メーカー各社も従来のビジネスモデルにしがみついていては生き残れません。アイシン精機をはじめとする各社が、他社との戦略的な提携や柔軟な組織作りによって次世代の種をまき続ける姿は、これからの日本の製造業が目指すべき新しい生存戦略の形を示していると言えます。

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