かつて、製紙業界といえば新聞や雑誌などの「印刷用紙」が経営の主役でした。しかし、デジタル化の波によって私たちのライフスタイルが激変するなか、製紙各社は今、大きな転換期を迎えています。2019年12月06日現在、主要各社はこれまでの洋紙依存から脱却し、驚くべき新分野へと次々に駒を進めているのです。
インターネット上では「紙がなくなるのは寂しいけれど、環境に優しい新素材には期待したい」といった声や、プラスチック代替としての紙製品に注目が集まっています。こうした社会の期待に応えるべく、各社は自社の強みを活かした独自の生き残り戦略を鮮明に打ち出しており、その動きはまさに「製紙会社の再定義」とも言える活気に満ちています。
エネルギー事業から家庭紙まで!各社が描く新時代の収益源
まず注目すべきは、日本製紙が推し進める「バイオマス発電」です。バイオマス発電とは、生物資源(木材チップなど)を燃焼させて電気を作る仕組みで、パルプの調達ルートを持つ製紙会社とは極めて相性が良い事業です。2018年03月には、宮城県石巻市において国内最大級の発電所を稼働させるなど、売電による収益確保を加速させています。
一方で、生活に密着した「家庭紙」に活路を見出すのが大王製紙です。ティッシュやトイレットペーパーといった衛生用紙は、デジタル化の影響を受けにくい底堅い需要が魅力です。同社は2018年10月に愛媛県の工場を再稼働させ、2021年までに巨額の投資を行い生産能力をさらに高める計画です。生活必需品のシェアを守り抜く姿勢は、非常に堅実な戦略といえます。
鉄より強く、プラスチックに代わる。未来を創る魔法の新素材
製紙技術の結晶として最も期待されているのが「セルロースナノファイバー(CNF)」です。これは植物繊維をナノ単位まで細かくした素材で、なんと重さは鉄の5分の1なのに強度は5倍という夢のような特性を持っています。王子ホールディングスや日本製紙は、この素材を自動車の部品や化粧品に活用しようと、実用化の最前線を走っています。
また、世界的な海洋プラスチック問題も、紙業界にとっては追い風となっています。酸素や水蒸気を通さない「高機能な包装紙」の開発が進み、既にお菓子のパッケージなどで採用が始まっています。プラスチックを紙に置き換える動きは、単なるブームではなく、持続可能な社会を目指すための必然的な流れと言えるでしょう。
編集者の視点から見れば、かつての「紙を作るだけ」の産業から、エネルギー、化学、環境対策を担う「総合素材産業」へと進化する姿には目を見張るものがあります。国内需要の減少という厳しい現実を、技術革新のバネにして突き進む製紙各社の挑戦。その動向から、今後も目が離せません。
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