今、中国行きの航空券が異次元の安さを見せています。日本と北京や上海を結ぶ主要路線の運賃が、なんと1年前の同時期に比べて5割から6割も暴落しているのです。驚くべきことに、燃油サーチャージや諸税を除いた往復の航空運賃が5000円からという、信じられないような破格の便まで登場しました。旅行好きにとっては見逃せない価格ですが、この劇的な価格破壊の背景には、航空便の供給過剰と需要の伸び悩みという複雑な事情が隠されているようです。
格安航空券予約サイトを運営する企業によると、2020年1月下旬の春節(旧正月)が明けた後、2月から3月にかけての上海・北京行きの最安値は驚きの連続となっています。中部国際空港発の往復が5000円から7000円、成田国際空港や関西国際空港発でも往復8000円から1万円という衝撃的な安さです。ネット上のSNSでも「国内旅行より圧倒的に安い」「ワンコイン感覚で海外に行ける時代が来た」と、一時騒然となるほど大きな反響を呼んでいます。
実は、2019年10月末から日本と中国を結ぶ航空便は大幅に増加していました。2019年秋に北京大興国際空港という巨大な新空港が開業したこともあり、国土交通省のデータによると、2020年1月末から2月中旬の定期便は週1600便前後と前年同期比で4割も増えています。特に中部発は前年の2倍となる週200便に達しました。供給が増えれば価格が下がるのは経済の原則ですが、今回はそれに加えて「訪中需要の冷え込み」が深刻な影を落としています。
航空会社は日本人の旅行需要を必死に喚起しようと大幅な値下げに踏み切っていますが、追い打ちをかけるように発生したのが新型肺炎の感染拡大です。この未知のウイルスによる影響で、中国への渡航を自粛する動きが急速に広がっており、これがさらなる価格下落の要因となっています。安全が第一である以上、この需要減少は避けられない現実と言えるでしょう。
編集部としては、この激安価格は消費者にとって一見魅力的ですが、手放しで喜べる状況ではないと考えています。航空会社が身を削るような値下げを強いられている現状は、観光業界の健全な発展を揺るがしかねないからです。新型肺炎という不測の事態に対し、私たちは安さだけに目を奪われることなく、現地の正確な医療情報や安全対策にしっかりと耳を傾け、冷静かつ慎重に旅の計画を判断していく姿勢が今まさに求められているのではないでしょうか。
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