【新潟地震に学ぶ】震度6強でも被害限定的だった理由とは?強固な地盤とキラーパルスの謎を地質学の専門家が徹底解説!

2019年6月18日に山形県沖を震源として発生し、新潟県村上市で最大震度6強を観測した地震から、6月25日でちょうど1週間が経過しました。この地震は、近年新潟県を襲った大地震と規模(マグニチュード)や震源の深さが似ていたにもかかわらず、家屋の倒壊といった甚大な被害には至らず、瓦の落下など、比較的影響が限定的であった点が注目されています。

SNS上では、「震度6強の割に被害が少なくて驚いた」「地盤が強かったから助かったのだろうか」といった、被害の小ささに対する安堵や、その要因を探る声が多く見受けられました。なぜ、同規模の地震でありながら、過去の地震と比べて被害が抑えられたのでしょうか。その鍵は、震源近くの地質構造にあると、専門家は分析しています。

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揺れの大きさだけでは測れない!地盤の強さが運命を分ける理由

今回の地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.7で、2004年の新潟県中越地震(M6.8)や2007年の新潟県中越沖地震(M6.8)と非常に近い値を示しています。震源の深さも、いずれの地震も15キロメートル前後と同じような浅さでした。しかし、過去の2つの地震では甚大な家屋倒壊などの被害が発生したのに対し、今回は被害が限定的だったのです。

新潟大学の卜部厚志教授(地質学)は、その要因の一つとして、震源に近い村上市の山北地区周辺と、県内他地域の地質の違いを挙げていらっしゃいます。特に注目すべきは、「沖積層(ちゅうせきそう)」と呼ばれる地層の厚さです。沖積層とは、堅い岩盤の上に、砂や小石、泥などが積もってできた地層のことで、固まりが弱く軟らかい性質を持つため、地震の揺れを増幅しやすく、家屋などの被害を大きくする傾向がある軟弱地盤の代表例です。[Image of沖積層と基盤岩の図]

過去の中越沖地震で大きな被害が出た柏崎地域では、この沖積層が30~40メートルもの厚さで堆積していたのに対し、今回の震源に近い山北地区周辺では、わずか5メートル程度しかなかったと卜部教授は指摘されています。山北地区周辺のように海と山に挟まれた地形の場所は、平野部に比べて沖積層が厚く積もりにくい傾向があるからでしょう。

「キラーパルス」が弱かった幸運と地震に強い地盤の相乗効果

同規模の地震であっても、揺れ方や被害の程度は地質構造によって大きく異なってくることが分かります。今回、新潟大学が行った調査でも、被害が一部にとどまったことが裏付けられました。

また、今回の地震では、家屋を損傷しやすいとされる「キラーパルス」が弱かったことも幸いしました。キラーパルスとは、揺れが一往復する周期が1~2秒程度の地震波のことで、特に木造家屋などに共振しやすく、大きな被害をもたらす原因となります。このキラーパルスが弱かったことに加え、震源に近い地域が地震に強い強固な地盤であったことが、被害を限定的に食い止める相乗効果を生んだと、卜部教授は分析しています。

私は、今回の地震の被害が最小限に抑えられたのは、地理的な幸運と地盤の強さ、そして特定の揺れの性質が重なり合った結果だと考えます。しかし、この結果に安堵するだけでなく、この貴重な経験を今後の防災対策に活かす視点を持つことが何よりも重要でしょう。

次の大地震はいつ、どこで?活断層研究の進展に期待

今回の地震の震源域は、日本海東側を日本列島に沿うように広がる「ひずみ集中帯」と呼ばれる、地震が起きやすい領域に位置しています。新潟県の海沿いには海底活断層も多く分布しており、「次にどの活断層が動くかは分からない」と卜部教授は警鐘を鳴らしています。

新潟大学の小林健太講師も、「ひずみ集中帯は中越地震や中越沖地震の後に注目が集まりましたが、新潟や山形の海沿いでの地震に関する研究はその後、あまり進展していない」と述べており、今後の研究の遅れに対する懸念を示されています。地震による揺れや被害を正確に予測し、防災・減災につなげるためには、地質構造の解明、そして海底活断層に関する更なる研究が必要不可欠です。

私たちは、今回の地震で被害が限定的だった理由を深く理解し、その要因を冷静に分析することで、来るべき巨大地震に備える心構えと、具体的な対策を講じることの重要性を再認識する必要があるでしょう。この記事が、読者の皆様の防災意識を高める一助となれば幸いです。

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