2020年原油価格はどこへ向かう?中東緊迫化と中国新型肺炎のダブルショックが世界のエネルギー市場を揺さぶるリアルタイム動向

2020年は幕を開けたばかりですが、世界のエネルギー市場はかつてない激動の波に飲み込まれています。年初に起きたアメリカ軍によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害は、中東地域の緊張を一気に最高潮へと押し上げました。これに対してイラン側も即座に弾道ミサイルで報復を行い、一時は全面的な軍事衝突に発展するのではないかと世界中が固唾をのんで見守ったのです。幸いにもアメリカのトランプ大統領が経済制裁の強化に留めたため最悪のシナリオは回避されましたが、危うい均衡が続いています。

この緊迫した情勢を受けて、ネット上でも「ガソリン代が跳ね上がるのではないか」「ついに第三次世界大戦が始まるのか」といった不安の声がSNSで瞬く間に拡散されました。原油価格の国際的な指標であるブレント原油は一時的に1バレル70ドルを突破し、市場には100ドル超えを懸念する緊迫感が漂ったほどです。ここで言う「ブレント原油」とは、北海で採掘される主要な原油のことで、欧州やアフリカなど世界の原油価格を決める重要なものさしとなっています。現在は衝突が回避され、価格は一服感を見せています。

しかし、中東の火種が完全に消えたわけではありません。現地中東の主要産油国の専門家たちと意見を交わしたところ、一触即発の限界状態が今なお継続しているとの見方が大勢を占めていました。アメリカによる「最大限の圧力」とそれに対抗するイランの反発は本質的な対立構造によるものであり、今後も予断を許さない状況です。私たちは、こうしたエネルギー供給の生命線である中東の不安定化が、日本のような資源輸入国に直結するリスクであることを常に肝に銘じておく必要があるでしょう。

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中国の新型肺炎拡大が世界経済にもたらす冷や水

中東情勢の緊迫化から一転して、次に市場を襲ったのが中国の武漢市で2019年年末に発生した新型コロナウイルスによる肺炎の猛威です。2020年1月下旬に入ると感染者数は一気に2万8000人を超えて爆発的に拡大しており、その勢いは未だに衰える気配を見せていません。この未曾有の事態は、これまで世界経済を牽引してきた中国の景気を大きく失速させるだけでなく、地球規模での経済減速を引き起こす深刻なリスクとして急速に警戒されています。[/p>

国際通貨基金(IMF)が発表した2020年の世界経済成長率の見通しは3.3%へと下方修正されましたが、これには新型肺炎の壊滅的な影響がまだ反映されていないのが実情です。ちなみにIMFとは、世界の通貨安定や経済成長を支援する国際機関のことです。中国の2019年の経済成長率は6.1%と、実に29年ぶりの低水準を記録していました。そこへ今回の肺炎ショックが直撃したため、今年の成長率は5%台へさらに落ち込むとの見方が現実味を帯びています。[/p>

SNS上では「中国の工場が止まれば世界のサプライチェーンが麻痺する」「旅行客激減で日本経済も大打撃だ」といった悲観的な経済予測に関する投稿が相次いでいます。実際に中国国内では、これまで経済を支えてきた投資や輸出の鈍化に加え、期待の星であった個人消費までもが冷え込んでしまいました。事態を重く見た中国政府は、これまで控えていた財政出動などの景気刺激策を打ち出さざるを得ない局面に追い込まれつつあるようです。[/p>

しかし、こうした巨額の資金を投入する景気対策は、中国が抱える工場の生産過剰や、回収不能となる「不良債権」といった根深い構造問題をさらに悪化させる諸刃の剣でもあります。世界最大のエネルギー消費国である中国の需要が激減したことで、原油価格のもう一つの代表的指標であるWTI原油先物は1バレル50ドルを割り込みました。WTIとはアメリカのテキサス州周辺で産出される良質な原油のことで、世界的な原油取引の最も重要なベンチマークです。[/p>

このように2020年は、わずか1ヶ月の間に中東の地政学的リスクによる価格高騰と、中国の景気減速による価格暴落という、上下双方の激しい乱高下に翻弄される展開となりました。国際エネルギー市場の不安定さは今後も継続するとみられ、私たちはこの荒波に立ち向かわねばなりません。政府や企業は単なる楽観論を捨て、いつ不測の事態が起きても即座に機動的な対応が取れるよう、代替エネルギーの確保や備蓄の強化といった具体的な戦略を今すぐ準備すべきです。

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