総合化学大手の東ソーは、塩化ビニール樹脂などの汎用化学品と、半導体材料に代表される機能性素材をバランスよく組み合わせた経営を突き進める方針です。素材の市場価格が激しく変動するリスクを和らげるため、利益率の高い高機能品を医療分野などで積極的に拡大していく狙いがあります。山本寿宣社長が語る2020年の事業見通しからは、攻めの姿勢がはっきりと見えてきました。
ネット上では「5Gや医療という確実な成長分野に投資する姿勢は心強い」「地味な化学株だと思っていたけれど、これからの時代に欠かせない技術を握っている」と、同社の安定感と将来性を評価する声が相次いでいます。
新興国の医療ニーズと5Gの追い風を掴む
汎用化学品の市場が低迷する一方で、新興国の経済成長に伴う機能性商品の需要は極めて堅調だといいます。特にアジアの中間層において健康への意識が高まっており、中小規模の病院を中心に血液検査装置の受注が順調に伸びている状況です。
ここでいう血液検査装置とは、採取した血液から病気の兆候を調べる医療機器のことで、東ソーの技術力が世界で頼りにされています。さらに、次世代高速通信規格「5G」のインフラ投資が本格化することにより、一時的に不調だった半導体製造装置向けの石英ガラスにも、2020年は復活の兆しが見えてきました。
機敏な設備投資とM&Aで目指す未来の形
同社は2019年度から2021年度にかけて、M&A(企業の合併・買収)に合計300億円を投じる計画を掲げています。山本社長は、診断時間を短縮し多様な病気を見つけられる血液検査の領域において、技術を補完できる海外企業への投資に意欲を示しました。
さらに、2020年度の設備投資についても前年度並みの約500億円を維持する見込みです。2021年には韓国で石英ガラスの新工場を設立するほか、医療用手袋に使われるクロロプレンゴムの生産能力を増強する計画も進んでおり、成長市場への布石を確実に打っています。
編集部の視点:時代に即したポートフォリオ変革への期待
2020年1月22日時点の発表によると、東ソーの2019年度の営業利益は前年度比で2割減の840億円となる見通しです。これは為替の円高や汎用化学品の価格下落が響いたものですが、過去4番目に高い利益水準を維持している点は、企業の底力を証明していると言えるでしょう。
これまでは汎用と機能性の利益比率が6対4でしたが、将来的に5対5へと引き上げる目標は非常に理にかなっています。市況に左右されやすい汎用ビジネスの弱点を、5Gや医療という高付加価値な分野で補う戦略は、これからの不透明な時代を生き抜く最適解となるはずです。
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