💥ディール外交の最前線! トランプ訪日が暴いた米中摩擦の苛立ちと「票田」農産品を巡る日米首脳の緊迫の駆け引き

2019年5月25日から来日していたドナルド・トランプ米大統領(当時)は、28日に帰国の途につかれました。蜜月関係が続く安倍晋三首相(当時)との27日の首脳会談は、一見和やかな雰囲気の中にも、貿易交渉を巡る激しい火花が散った舞台となりました。2020年11月の米大統領選を控え、中国との貿易協議が長引く中で成果を急ぐトランプ氏と、同年夏の参院選が目前に迫り、国内の農産品という「票田」で簡単に妥協できない安倍首相。両首脳の**「ディール外交」の矛先は、まさにこの農産品へと向けられました。

2019年5月27日昼、東京・元赤坂の迎賓館「朝日の間」で開かれた少人数の首脳会談は、予定時間を1時間も超過しました。麻生太郎財務相(当時)らを交えた会合で、トランプ氏の口から飛び出したのは、「シンゾー、聞いてくれよ」という言葉とともに、対中貿易協議への苛立ちでした。「中国は困った。全然言うことを聞かない」と不満を繰り返すトランプ氏に、安倍首相は「日米はうまくいっているのにね」となだめる場面があったそうです。トランプ氏にとって、この時点での最大の外交課題は中国との貿易摩擦であり、彼の対中批判には「だから日本は早く貿易交渉で成果を出してくれ」という暗黙の催促が含まれていたと見て間違いないでしょう。

会場を「花鳥の間」に移して始まった昼食会では、両首脳の懸念が一段と深まりました。トランプ氏がひたすら訴えたのは、日本側が最も警戒していた自動車ではなく、牛肉や農産品などの関税でした。「米国だけが関税が高くて不利だ」と不満をぶつけた背景には、大統領選に向けて、全米を代表する農業州であるアイオワ州などで始まる民主党の指名候補争いを意識していることが強く伺えます。トランプ氏が「豚には関税が38%かかっている」と牛肉と混同した指摘をしても、首相は「米国産の牛肉の輸入は増えているんだ」とやんわり修正しながら、日本の貢献を説明されました。

選挙を控え、簡単に譲歩できないのは安倍首相も同じです。首相はトランプ氏に協力姿勢を示しながらも、発言のたびに「日本の国会を通るウィンウィンの案を考えよう」と訴えられました。「日本の国会を通る」というフレーズをトランプ氏にすり込むことは、交渉の決着を参院選後に先送りするのと同じくらい、国内の農家を地盤とする自民党内の反発を抑える上で重要な意味を持っていたと言えるでしょう。

日本側は、2018年9月に合意した共同声明に、「過去の経済連携協定が最大限」という文言を盛り込んでおり、これはTPP(環太平洋経済連携協定)の水準を超える譲歩はしないという強い意思表示です。この枠組みの範囲内であれば、参院選前に国内農家への影響を抑えられるという計算があったわけですが、トランプ氏との交渉の難しさは、そんな周到な計算をしても予測がつかないところにあります。

SNSでも、この日米貿易交渉の進展について、「トランプ大統領の言う『8月発表』は信用できるのか」「農産品が焦点になるのは予想通り」といった、不確定要素への不安と交渉の厳しさを指摘する声が多く見られました。会談後の共同会見では、記者が首相にTPP水準が最大限との考えに変わりないかを質問した際、トランプ氏が「私からも付け加えたい」と割って入り、「私はTPPとは関係ない。私は他の人がサインしたものには縛られない」とまくし立てる一幕がありました。これは、TPPがオバマ前大統領の政治的レガシー(遺産)であったため、トランプ氏がその言葉に拒否反応を示したことを物語っています。

私自身の意見としましては、この首脳会談は、「外交をショーとして利用するトランプ氏」と「国益と選挙を天秤にかける安倍首相」という、両首脳の思惑が剥き出しになったディール外交の縮図**であったと感じます。トランプ氏が言及した日米貿易交渉の「8月発表」には、不確定な部分が多いものの、出席者の一人は「トランプ氏はとにかく早く形にしたい。(日本の)参院選後か。じゃあ8月だな、ということだろう」と見ており、あくまで大筋合意にとどまると予測されています。首相は自民党役員会で「うまくいっているから安心してほしい」と念を押されましたが、誰が首脳でも、この「ディール外交」の火花が、今後も日米関係に影を落とすことは避けられないでしょう。

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