高齢化や人口減少といった厳しい国内環境に直面する日本のコンビニエンスストア。しかし、視点を世界へ向けると、その勢いは全く異なります。ロシアやタイ、メキシコなどでは年率20%を超える成長率を記録しており、新興国のみならず米国のような成熟市場でも、日本のコンビニが持つポテンシャルに大きな期待が寄せられているのです。セブン&アイ・ホールディングスが海外事業で驚異的な伸びを見せていることからもわかる通り、海外展開こそが現在の小売業界における成長の起爆剤と言えるでしょう。
そもそも「日本型」コンビニとは、米国で誕生した業態を日本独自の技術で劇的に進化させたイノベーションです。ここでいうイノベーションとは、単なる改善ではなく、きめ細かな商品管理や高度な物流システム、先端的な情報処理技術を駆使して、全く新しい価値を生み出す技術革新を指します。さらに、銀行ATMや公共料金の収納代行、宅配サービスといった多機能な生活インフラとしての地位を確立し、世界に類を見ない質の高さを実現してきました。
「現地化」という名の難題をどう突破するか
もちろん、日本のやり方をそのまま持ち込めば成功するわけではありません。小売業は「ローカルビジネス」であり、現地の食文化や習慣への深い理解が不可欠です。SNS上でも「海外のコンビニは日本のおにぎりやお弁当のクオリティには敵わない」「日本のおもてなし精神を現地で再現するのは非常に難しい」といった声が散見されます。まさにその通りで、日本のフォーマットを押し付けるのではなく、現地に適応させる柔軟性が問われているのです。
その成功例として注目されるのがファミリーマートです。彼らはマレーシアで絶大な成功を収めていますが、その核心は現地スタッフとの「知識移転」にあります。単なる運営代行ではなく、日本流のノウハウを現地のパートナーに徹底して継承し、現地のニーズに合わせてカスタマイズさせる。この「人を通じたノウハウの伝授」こそが、模倣困難な競争優位性を生み出しています。SNS上でも「現地向けに開発された限定商品が美味しそう」と評判を呼んでいます。
暗黙知が築く、模倣できない強さ
知識移転には時間と労力がかかります。フランスのビジネススクール、INSEADのガブリエル・シュランスキー教授も指摘するように、黒字化までには相応の期間を要するでしょう。しかし、ここで伝えられるのはマニュアル化された情報だけではありません。「おもてなしの心」のような言語化が難しい「暗黙知」こそが核心なのです。暗黙知とは、経験や勘に基づき、言葉にしづらい組織的なノウハウのことです。
私自身の考えを申し上げれば、この「人」を中心とした丁寧な事業展開こそが、日本のサービス産業が今後グローバルで勝つための最強の戦略だと確信しています。自動化や効率化が叫ばれる一方で、日本が培ってきたソフトパワーは他国が容易に真似できるものではありません。国内の厳しい状況を糧に、新たな店舗運営の知見を磨くことは、巡り巡って海外市場での圧倒的な武器となるはずです。
日本型コンビニの躍進は、単なる企業の成功にとどまりません。これまで海外進出が遅れていた日本のサービス産業全体を牽引し、日本経済を活性化させる重要な役割を担っています。2020年2月5日の時点においても、この日本型コンビニが持つ技術革新は、世界の人々の暮らしをより豊かにし、日本の誇りとなる可能性を秘めていると言えるでしょう。これからの展開から目が離せません。
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