日産自動車やスルガ銀行など、企業で不祥事が起きるたびに、監査役や監査法人は何をしていたのかという厳しい声が上がります。問題の本質を見逃し、形式的なルール強化にばかり気を取られているのではないかという指摘も少なくありません。その結果、業務執行上の「コンプライアンス」(法令や社会規範の遵守)問題が経営を揺るがし、企業価値を大きく傷つける事例が後を絶ちません。SNSでも「監査役は機能しているのか」「形骸化している」といった批判的な反響が聞かれます。
監査役の本来の職務は、会計監査と業務監査を通して会社の経営実態を調べ、違法や不当な行為があればそれを阻止・是正することです。しかし、十分な役割を果たしきれていない現状があります。その改善点の一つが、監査法人の活用です。監査法人は膨大な時間をかけて多くの情報を得ていますから、監査役が監査計画の立案段階から積極的に関与し、その情報を引き出すことで、監査の有効性を格段に高めることが可能となるでしょう。
また、これからの監査役に不可欠なのが、「リスクマネジメント」に関する経験と力量です。単に帳簿の数字をチェックするだけでなく、経営の視点からリスクの実態を深く把握する見識が求められています。さらに、リスクマネジメントやコンプライアンスに関する仕組みが現場で適切に機能しているかを検証し、改善を促す指導力も求められる能力であると言えます。
そして最も大切なことは、経営者と同じ視点から環境変化に対する深い洞察力と思考力を持つことです。日々の変化を監査上のリスクに反映させるためには、自身の専門知識を磨く「自己研鑽」の努力と、外部との交流を深めることが不可欠でしょう。常勤の監査役だけでは客観性に限界があるため、外部から専門性を持って経営者に率直な意見(直言)を伝えられる「社外監査役」への期待が非常に高まっているのです。
これは、古来の「帝王学」で言うところの「よき幕賓(ばくひん)」の役割に他なりません。幕賓とは、野にあって帝王に助言や直言ができる人物を指します。企業の「ガバナンス」(企業統治)を真に機能させるためには、単に肩書を並べるのではなく、適切な能力と経験を兼ね備えた人材を社外から登用できるかどうかが、その企業の信頼性と価値を担保することになるでしょう。
コメント